|一考察、私による|

 

私は大きな読みが違いをしていたのだ.物語について.逆だった.

しようが、しまいが、もうすでに私は巻き込まれているのだ.

考察と言えば、聞こえは良いが、単に私の想像であって、それ以上のものではない.検証する術もないのだ.

物語に意図せず巻き込まれ、物語の中で物語を読み、挙句の果てには自分の祭壇を探し求めていた私が、考えた事、思った事をとりとめなく、まとまりないままに. 

さあ、小夜、考察を始めよう.私が、お前に近づくために.

 

 

 

 

 

  • 騒めく部屋の扱いの難しさ、仮に、騒めく部屋について完全な知識を得たとしても、やはり分かりづらい物語であることに変わりはないのだ.
  • この物語の分かりづらさは、私が物語の中で読んだ物語を記述することにあることは言うまでもない.しかし私にはそうする事しかできないのである.

 

先ず登場人物について

  • 全般的には、名前が与えられているのは、小夜のみである.
  • しかしその名前でさえも、物語によると、「あなたの夜は、まだ小さいから小夜というのよ」として、
  • 私は、物語の中で、物語の登場人物に会ったわけではないのだ.登場人物について読んだだけなのである.
  • その姿形を知っているわけではないのだ.小夜は、成長している、塗師の女は定置、

 

 

 

 

小夜の母について、出自.

  • 物語によれは、ホテルの女中の言い方を借りるならば、ホテルの女中によれば「あなたの母の血は、明らかに、私たちとは出自が異なる. 」と語った.異なった血の物語への混入が、この物語を理解困難なものとしている原因の一つでもあるのだが、物語において彼女について記述されている箇所は、あまり多くはないが。そもそもこの物語において、登場人物の描写はあまりされていないのではあるが、
  • ホテルの女中が語る、蛇潜りの言い伝え.蛇が愛した女がいた事.その女か?
  • 物語最後、欺きの欺き、エバ、と記載されてはいるが、?

 

 

ここにおいても私は、読み間違えていたのだ.最後のダンス.

最後のダンスとは、物語、列車の記述により産業革命以降、写真機の記述により19世紀半ば以降、カラーポジフィルム ( 恐らく、小夜の父による蝶の標本の撮影はポジフィルムによって行われた.小夜の幻視、吊るされた透明のフィルムに映る蝶の記述による ) の記述により20世紀初頭以降、切手の記述により、がい灯記述により、の物語と推定される.

但し、小夜が生きた年数は、あまりに多く、それは数えられないほどであり、そもそも数えるという概念が通じない、“時間”とは異なった、むしろ、距離のようなものであろうか.

その距離と時間の、蛇の円弧

 

 

 

小夜の自慰.

物語、列車の記述により産業革命以降、写真機の記述により19世紀半ば以降、カラーポジフィルム ( 恐らく、小夜の父による蝶の標本の撮影はポジフィルムによって行われた.小夜の幻視、吊るされた透明のフィルムに映る蝶の記述による ) の記述により20世紀初頭以降、切手の記述により、がい灯記述により、の物語と推定される.

但し、小夜が生きた年数は、あまりに多く、それは数えられないほどであり、そもそも数えるという概念が通じない、“時間”とは異なった、むしろ、距離のようなものであろうか.

その距離と時間の、蛇の円弧

 

 

 

物語における小夜の移動の経路、各区画の性質.

 

小夜、誕生.

塗師の女の言葉によれば、小夜、[ 蛇潜り、漆芸の家 ] の敷地、禁足の場である [ 蛇晒し ] にて、物語に書かれているような儀式により誕生.記述はないが、誕生後、すぐか、ある一定の期間をおいて後、おそらく蛇潜りの無人のホームから列車で [初原、行列する集落 ] へと移動.行動を共にしたのは、小夜の実の母である漆芸の家の女主人であろう.

何かから、或いは、何者かからか、小夜を隠す必要があったのかもしれないし、ただ単に、小夜の成長の目的において、その目的とは何であるのかまでは分からないが、その場合、女主人だけではなく、職工もともに、分からない.


[ 初原、行列する集落 ]

輪郭の滲んだ物語は、この区画から始まる.

 

[ 蛇潜り、漆芸の家 ]

輪郭の滲んだ物語は、この区画から始まる.

 

 

 

 

物語の時代背景.

物語、列車の記述により産業革命以降、写真機の記述により19世紀半ば以降、カラーポジフィルム ( 恐らく、小夜の父による蝶の標本の撮影はポジフィルムによって行われた.小夜の幻視、吊るされた透明のフィルムに映る蝶の記述による ) の記述により20世紀初頭以降、切手の記述により、がい灯記述により、の物語と推定される.

但し、小夜が生きた年数は、あまりに多く、それは数えられないほどであり、そもそも数えるという概念が通じない、“時間”とは異なった、むしろ、距離のようなものであろうか.

その距離と時間の、蛇の円弧

 

 

 

数について.時には無数の記述.

物語において、数と数を数えることは蛇潜り漆芸の家以降、たびたび記述される.

無数、数を数えるが、振動によって乱され数が分からなくなる.

蛇の棲み家、夢において、いまだ夜が小さいがゆえに、数を数えること能わぬがゆえに・・・の記述.

それがどのような意味を持っているのか、

多くの数が一つになったときに、

何かが欠落していた、まだ、数が有効であった、それが欠落か?

数か所、無数の記載も見られる.無数ではないが、物語においては無数は扱われない.無数ではあるが、決してそうではないのである.

 

 

 

小夜の父について.

  • 小夜と小夜の父との絆の領域という文言が物語に出てくるが、小夜の母と小夜の絆という言葉は出てこない事.
  • 物語を読むに、蛇晒で行われた儀式とは、生殖行為であろう.であれば、この家、この血筋においては、極めて重要な、神聖な行為であると塗師の女が語るのも頷ける.
  • 女主人と男の職工たちの性行為であろう.その行為を見守る女の職工.
  • 女主人に精を注ぎ込んだのは、おそらく当時職工の一人であっただろう、小夜の父かもしれない.
  • であれば、小夜の父は、実の父親かも知れないし、結局は分からない.

 

 

小夜について.

  • 性別は、私は、経験的に小夜という名前から、女であると判断しているが、物語のどこにも女であるとは記述されていないのである.物語に記述されていないということは、それほど重要な問題ではないのかもしれない.分からない.
  • 輪郭の滲んだ町、ホテル、小夜の部屋、自慰においても、その自慰の描写が、男性的であるのか、女性的であるのかも記述されていない.男性的な自慰、女性的な自慰、その違いは明白である.
  • もっと重要な問題があるのだ.小夜は、存在したのか?実存として存在したのかという根本的な問い.私は小夜に会ったこともない.すれ違いは何度かあったが、しかし、すれ違いを読んだだけのことである.小夜という形象を私は知らないのだ.

 

 

蛇の円弧.

この物語、 

 

 

 

 

登場人物の同期と分散.

  • 物語を分かりつらくしている原因の一つである.
  • 私、僕、小夜の父、魚釣りの少年.
  • 一体、私とは誰か?今これを記載しているのは誰なのか?

 

 

 

騒めく部屋について.

  • 物語を分かりつらくしている一番の原因である.
  • 時系の乱れも、この部屋についての理解を進めることで解決できるような気がする.
  • 時系の乱れは、この部屋から生じるのである.
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夜.

物語の中で扱われる“ 夜 ” は、[ 初原、行列する集落 ] の夜、[ 蛇潜り、漆芸の家 ] の夜、[ 輪郭の滲んだ町 ] の夜、この3種類.[ 闇 ] は夜とは異なるので、ここでは考察から外す.

これらの夜について、一度整理、

[ 初原、行列する集落 ] の夜は、朝~夕~夜、この一連の循環の中で必ず訪れる夜である.通常私たちが経験する夜とさほど変わらない夜であろうか.

[ 蛇潜り、漆芸の家 ] の夜は、比較によって認識される夜である.物語によれば、

[ 輪郭の滲んだ町 ] の夜は、何ら比較によらず、その根底に横たわるような夜である.[ 蛇潜り、漆芸の家 ] の夜は暗く、しかし、[ 輪郭の滲んだ町 ] の夜については、暗いとも限らないような夜であろうか.

夜、私は真っ先に十字架の聖ヨハネの事を思い出したのであるが、夜の質が異なっているのである.この物語で扱われる夜は、なんと残酷で、その正体を現さず、なんと、その夜は、小夜が作った夜であったとは.

 

 

 

 

傷.

  • 物語において傷は非常に頻繁に扱われてはいるが、刺し傷、切り傷の二種.
  • 刺し傷は虫ピンによってつけられ、最初は穴を伴い、穴と穴は繋がり、線となる.
  • 膣でさえも傷である.裂け目.
  • 傷にめり込むもの、伴う快楽.はじめ傷から身体内部に入り込み、身体内部で待ち受け、おびき寄せ、姿なき形象、
  • 即ち、小夜は傷によってのみ外界と接し、供物の行進の先頭を歩むことを欲する者でもある.

 

 

 

虫ピン、針先、痛み.

  • 痛みと秩序との関係.
  • 小夜と虫ピンとの関わり、小夜と痛みとの関わり

 

 

 

数について.

  • 物語において、小夜が数を数える場面は、[ 蛇潜り、漆芸の家 ] においては、寄宿棟廊下の窓から建屋の数を数える、[ 輪郭の滲んだ町 ] においては、入場時に外灯の数、螺旋階段を回る回数、蛇の棲み家への往復の回数、夢の回数.
  • 物語には記述されてはいないが、小夜はあらゆる場面において数を数えていたのではないだろうか?私には分からない.
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ハプニングについて.

物語、冒頭において記されている、この類の物語、愛の物語特有のハプニングについて

  • 小夜の成長におけるハプニング.小夜のメモをタイプしながら、私は、あるメモを発見した.それも早い段階で.賑やかなメモ#5・→.そこにはこのように書いてある.あの女、私は知っている、夜ごとに彼のもとへと言っていたことを.私の邪魔をする女だ.苦しめ、大嫌いだ、お前は、・・・.このような文面を書くことをだれが想像できただろうか.成長は、ある種の暴走へと発展したのだ.私の想像をはるかに超えた暴走でもある.
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